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今週のコラム(2018年6月11日週)

度々、北朝鮮とシリアが関わっていると聞くこともあるだろうが、これについてあなたはどう思うだろうか。
どうして北朝鮮がシリアと関わる必要があるのかと考えるかもしれない。
4月、アメリカ・フランス・イギリスの3カ国によってシリアに対して攻撃が行われた。
この件について、フランスの外務省が発表した評価報告書にはこのような記載がされている。

The French services assess that four questions asked of the Syrian regime
by the OPCW and which have remained unanswered require particular attention,
particularly in the context of these latest cases of the use of chemical weapons in Syria: 
- possible remaining stocks of yperite (mustard gas) and DF (a sarin precursor); 
- undeclared chemical weapons of small calibre which may have been used on several occasions,
 including during the attack on Khan Sheikhoun in April 2017; 
- signs of the presence of VX and sarin on production and loading sites; 
- signs of the presence of chemical agents that have never been declared,
 including nitrogen mustard, lewisite, soman and VX.

これを日本語に直し要約すると、以下のようになる。

フランスは、シリアが姿勢を示さない4項を警戒をしている。
1. サリンなどの材料があること。
2. 報告されていない、使われた痕跡のある化学兵器があること。
3. 工場や倉庫に、VXやサリンの兆候があること。
4. 様々な化学物質、発表されていない化学物質の兆候があること。

あなたはVXと言う名前に聞き覚えがないだろうか。
VXといえば、北朝鮮金正男を暗殺したときに使われたことでも有名な、当時未確認の化学物質と世間を騒がせましたあの物質である。
ではなぜシリアがそのVXガスを製造でき、さらに持っているのか。
北朝鮮はもともとロシアとの関わりが強く、いまでは中国よりもロシアを重視しているほどである。
同様に、イランとの関係も現在模索している。ロシアを中心にした同盟関係はヨーロッパよりも強く硬く、事実上のロシア連邦とも言えるのかもしれない。
ロシア圏の大国であるロシアとイランがシリアを支援するのと同様に北朝鮮もシリアの支援をすることで、
ロシア圏の大国入りを果たそうとしているのではないだろうか。
事実、朝鮮半島の統一は北朝鮮主導で進んでおり、完了までさほど遠くない位置にいる。
しかし、アメリカによる軍事攻撃の結果、シリアにVXガスがあることが知られてしまった。
現在VXガスの製造法を知っているのは北朝鮮だけであるはずにも関わらずである。目的が何であれ、北朝鮮とシリアはもはや無関係ではない。

ところで、件の攻撃はなぜあのタイミングで行われたのだろうか。
それはひとえに米朝首脳会議への圧力に他ならない。
ちょうどロシア大統領選が終わった後というのも1つの狙いだろう。
終わる前に攻撃すればきっと手痛い反撃を受けるのだから。

北朝鮮が中東へとミサイルを売り込みに行っていることはとても有名であり、また唐突に現れたのが例のVXである。
今回の米朝首脳会談でどのような結果を我々は目にするのだろうか。